歯並びを治した方が良い理由
なぜ歯並びを治した方がよいのでしょうか
「歯並びは治した方がよいのでしょうか?」と聞かれると基本的には「YES」が答えです。では、なぜ歯並びを治した方がよいのでしょうか?この理由についての当院の考え方をお話したいと思います。
01 一般的に言われる歯並びを治した方がよい理由
「なぜ歯並びを治した方が良いのか?」と聞かれると、一般的には下記のような理由が挙げられます。
●人は見た目で判断されるから ●虫歯になりやすくなるから ●歯周病になりやすくなるから ●顎関節症になりやすくなるから
一つずつ解説していきたいと思います。





しかし、自分自身の矯正治療の経験と学びが深まっていくにつれ、今ではちょっと違う理由で歯並びを治すことに情熱を注いています。
02 歯並びが悪いことと健康リスクの関係
その理由をお答えする前に、歯並びや口腔環境と関係がありそうな健康リスクについて、近年の研究結果をいくつか紹介したいと思います。
●歯並びが悪いと咀嚼機能に悪い影響が出る
●歯並びが悪いと下顎の発育に悪い影響が出る
●小学校2年生くらいから正常な歯とそうでない歯の差が開いてくる
●永久歯の虫歯は過去最低になったが、喘息の子供の割合は過去最悪を毎年更新している
●アトピーの子供は、そうでない子供に比べ中顔面が低く、中顔面と前顔面高が長かった
●歯並びを含む顔全体のバランスを整えることで気道がしっかり確保される
●喘息の子供と、口呼吸や異常な顔面タイプの間に相関が見られることが分かった
●アレルギー性鼻炎の子供は交叉咬合の頻度や口呼吸と相関が見られる
●気管支喘息は上気道と口腔咽頭(のどまでの間、ようは気管)が狭い
●聴覚障害/テレビの音が大きい子供が増えている。口蓋(口の中の上側の部分)の発育が悪いと耳鼻器官を調整する筋機能が低くなり、伝音聴覚傷害と関連があることが分かってきている
●睡眠障害/子供の睡眠傷害もさまざま理由があるが、アレルギー性鼻炎や喘息、鼻詰まり、咳などの呼吸障害で目覚めてしまい、睡眠の質が低下する
●おねしょ/5歳をすぎてもおねしょをを週に2回以上してしまう子供は、夜間遺尿症と診断されることがある。夜間遺尿症の子供には無呼吸症候群や上気道傷害などの呼吸器系の問題を抱えいることが多い
こうした研究によって、歯列矯正の世界ではある考え方が定着しつつあります。
それは、
●歯並びが悪いのは発育の異常・サインである
●発育不全のままだと健康リスクが高まる
ということです。
「発育」という言葉、聞いたことありますか?聞いたことはあるかもしれませんが、「説明しろ」と言われたら難しいですよね。「発育」とは「成長+発達」と考えられていて、身体の量的な増大を「成長」、機能的な成熟を「発達」といいます。基本的には身長の伸びが止まるまでが発育期で、「子供の特徴」とも言われています。
「昔にくらべ今の子供は固いものを食べなくなった」というのはよく聞く話だと思います。子供の頃に固いものを沢山噛むことで顎の骨がしっかり成長するのは事実です。顎の骨しっかり成長することで歯が並ぶスペースが確保されます。
発育期に固いものを食べる機会が少ないと顎がしっかり成長せず、歯が生えてくるスペースが足りずに歯並びが悪くなる、これが歯並びが悪くなる一般的な考え方です。この考えだと、「顎の骨が小さくて歯が並ぶスペースが狭いですね。スペースを作って歯を並べていきましょう」で終わってしまいます。
歯がしっかり並ぶくらい顎の骨が成長していない状況を「発育不全」と考えるのがこの考え方の大きなポイントです。健康な人の身体には調和があり、身体に異常が起こると、それを伝える為に様々なサインが出ます。それは例えばむくみだったり汗の匂いだったりどこかのしびれだったり。同様に歯並びの異常は「顎の骨の発育不全を知らせるサイン」と考えます。
歯並びが悪いとして「固いものを食べる機会が少なかった」と片付けるのは簡単で、過去にそういう傾向があったことはあったことも事実でしょう。でも「何歳までに固いおせんべいを何枚食べればいい」という具体的な目標値があるわけでもありませんし、固いものを食べる機会が少なかった事だけが原因かというと、実際はそうでもありません。それまでの食生活だけでなく、授乳形態がどうだったか?とか、離乳食がどうだっったか?といったことも影響しているコトが分かっています。もっというと先天性(遺伝)的な要因も考えられてます。
発育不全の「原因」という「過去のコト」はいったん置いといて、歯並びが悪いことを「発育不全のサインである」と考え、「ではどうする?」という「未来のコト」に目を向けて解決策を探っていこうとするこの考え方は、より積極的で前向きなものではないでしょうか?
一般的に言われている「歯並びを治した方がよい理由」の中では、虫歯や歯周病など、口腔内のリスクが取り上げられていましたが、先程ご紹介した研究結果のように、アレルギーや気管支系の障害、聴覚障害や睡眠障害など、歯並びの悪さは様々な健康リスクと相関があることが分かってきています。考えてみれば、口の上には鼻があり、感覚、呼吸、咀嚼、構音、消化器官など、人間が健康に過ごすための重要な器官がこの部分に集中しています。健康リスクと相関があっても、なんら不思議ではありません。健康な人の体は調和がとれています。歯並びを治すことは人の身体の調和を取り戻すことであり、口腔内だけでなく全身の健康増進に大きな役割を果たすのです。
03 かまくら歯科が思う、歯並びを治した方が良い理由
ここまで読んで下さった方はもうお分かりだと思いますが、「歯並びを治した方がよい理由は何ですか?」聞かれたときの私の答えは「歯並びが悪いのは発育不全のサインであり、発育不全のままだと健康リスクが高まるから」ということになります。ですから、かまらく歯科の歯列矯正は、「歯並びを治す」という「見た目の解決」だけでなく、顎を含む顔面の発育のバランス不足や発育の遅れを取り戻す、正常な発育軌道に乗せることを目的にしています。
発育不足のままお子様の成長が終わってしまうと、その後の人生に大きな影響が及んでしまうかもしれません。様々な健康リスクと相関があると分かっているのであれば、まずはその事実を目の前の患者さまににお伝えすることが、私に出来る重要な役割となります。しかしこれ、本音をいうと、この事実をお伝えするのには結構勇気がいります。
「そうやって恐怖を煽るのか!」「かまくら歯科は矯正ばかり進めて、お金儲けのことしか考えてない」といったような解釈をされる方がいらっしゃるのも事実だからです。
私も普通の人間です。このようなことを耳にすると正直へこみます。でもそんなコトを言ってもはじまりません。私達が取り組んでいることは、ただ歯並びを治すだけでなく、患者様が一生健康的に生きていくための治療と考えることが出来るからです。当院が情熱持って治療に取り組む理由が少しでも伝わればと思います。
「いつから治療を始めたらいいですか?」これもよく聞く質問ですが、「出来るだけ早く」が答えとなります。何度も言いますがとにかく発育期の治療が重要です。発育期の早い段階で発育不全のサインを見つけるコトができたら、その芽を摘み、顎の骨や機能を正常な発育軌道に早く戻すことが出来ます。
とにかく気になったら早めに診せて下さい。
あなたのお子様の笑顔と輝く未来のために。