歯周病に影響を与える全身の病気
歯周病に影響を与える全身の病気について

歯周病は全身の病気とも関連のある病気です。
歯周病は全身の病気とも関連のある病気です。かかっている病気そのものによる影響、もしくは病気のために服用している薬の影響により、歯周病の状態が悪化してしまうことがあります。歯周病に影響を与える全身の病気について見ていきましょう。
高血圧が歯周病に与える影響
薬物性歯肉増殖症

■カルシウム拮抗薬を使用している場合に起こります
「アダラート」「アムロジン」「ノルバスク」「ヘルベッサー」「カルブロック」「カルスロット」などのような、カルシウム拮抗薬と呼ばれる高血圧治療薬を飲んでいると、薬物性歯肉増殖症を起こすことがあります。ちなみに年齢が若いほど、服用量が多いほど、重症になる傾向があるとされています。
■薬物性歯肉増殖症への対処法
カルシウム拮抗薬が歯肉増殖を起こす詳しいメカニズムはまだ不明のようですが、一番の原因は、通常の歯周病と同じく、プラーク(歯垢)です。薬を飲むことで歯茎が腫れやすくはなってしまいますが、きちんと歯垢を取り除くような正しいブラッシングが行われていれば、それほど腫れることはありません。通常、歯磨きの不十分なところが、知らないうちに腫れてきます。早めに腫れに気づき、早めに対処することで重症化することを防ぐことができます。
・正しいブラッシング方法を身につけ、実践する
・歯石や歯垢を徹底的に歯科医院で除去する
糖尿病が歯周病に与える影響
歯周病は糖尿病の合併症

■糖尿病がお口に及ぼす悪影響
- 1.歯周病菌に感染しやすくなる
- 高血糖状態になると、細菌に対する防御反応が低下するため、感染症にかかりやすくなり、歯周病を起こしやすくなります。
- 2.歯周病が悪化・進行しやすくなる
- 歯茎の血管が傷んでしまい、組織の治癒力も低下するため、歯周病がなかなか改善せず、治療をしてもどんどん進みやすくなります。
- 3.歯周病菌が繁殖しやすい状態になる
- 尿がたくさん出ることにより、お口が乾き、唾液による自浄作用があまり働かなくなってしまうので、歯周病菌が繁殖しやすくなります。
■糖尿病による歯周病の対処法
歯科的な対応としては、極力、歯周病の直接の原因であるプラークをコントロールする、ということを行います。そのためには、ブラッシングの改善や、定期的に歯石・プラークを取り除くクリーニングが必要になってきます。しかし、糖尿病の程度が重度であるほど、それだけでは改善しにくくなりますので、血糖値をコントロールし、歯周病に感染しにくいお口の状態に変えていくことが大事なのは言うまでもありません。最近の研究では、「歯周病が糖尿病を引き起こしやすくする」と言う逆の関係もわかってきており、歯周病治療を徹底的に行うことで糖尿病の改善も期待できます。
骨粗鬆症が歯周病に与える影響
骨が弱くなると歯周病も悪化しやすくなる

女性ホルモン「エストロゲン」には、骨の吸収を抑えるだけでなく、歯周組織の炎症を抑えてくれる作用もあります。そのため、閉経に伴いエストロゲンの分泌が低下すると、骨粗しょう症に加え、歯周組織の炎症も進行しやすくなります。また、歯周組織の炎症が悪化すると、歯を支える骨が溶けて歯がぐらつくようになります。骨粗鬆症の人の場合、歯槽骨がもろくなっているため、より一層その進行が加速されてしまい、歯を失うリスクも高まるのです。
最近では、歯周病を治療することで、骨粗鬆症の進行も抑えられるという研究報告がなされています。骨粗鬆症にかかっている閉経後の女性を対象にした調査によると、歯周病治療を受けて歯周組織の状態が良い人は、骨粗鬆症の治療を受けていなくても、骨密度の低下を抑えることができると報告されています。
骨粗鬆症の人が増える60代以降というのは、歯周病により歯を失う人が増える年代と重なります。これは骨粗鬆症による影響も大きいと考えて良いでしょう。歯周病で歯を失わないようにするためにも、骨粗鬆症にならないよう、早めの予防を心がけることが大事です。骨粗鬆症にならないためには、カルシウムの摂取はもちろんのこと、カルシウムの吸収を助けるビタミンDやビタミンKを積極的に摂取すること、また、女性ホルモンに似た働きをする大豆イソフラボンを摂取するのも効果的だと言われています。また日光浴や運動も効果的です。喫煙は骨粗鬆症と歯周病の危険因子ですので、極力やめたほうが良いでしょう。
骨粗鬆症も歯周病も、早めの対策で予防することは十分に可能です。特に女性の方は気をつけましょう。