歯周外科・フラップ手術の適応と判断基準を南予からも通えるインプラント専門医が解説
2026年8月24日
残暑の厳しい8月下旬、南予地域では宇和海の海風がわずかに涼しさを運び、店先には愛媛自慢の桃や梨が並び始める頃です。高知方面でも夏の疲れが出やすい時期で、「そういえば歯ぐきが腫れやすくなった」とご相談をいただくことが増えます。
歯周病の治療を続けているのに「手術が必要かもしれません」と言われ、不安になった方も多いのではないでしょうか。歯ぐきを切ると聞くだけで身構えてしまうのは自然なことです。
この記事では、歯を支える骨が溶ける病気(歯周炎)に対する歯周外科手術、なかでも代表的なフラップ手術について、どんな状態のときに必要と判断されるのか、その基準と流れを歯科医師の視点からわかりやすく解説します。

フラップ手術とは何をする治療か
結論から申し上げると、フラップ手術とは歯ぐきを一時的に開いて、内側に隠れた汚れと感染部分を直接見ながら取り除く処置です。歯ぐきを切らずに行う通常の清掃で届かない領域を、確実に清掃することが目的になります。
なぜこの処置が必要になるのか。理由は歯周病の進行のしかたにあります。歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)は、健康であれば2〜3mm程度です。ここが炎症で深くなると、器具を差し込んでも先端が底まで届かなくなります。
器具が届かない状態で清掃を繰り返しても、根の表面に残った歯石や細菌の膜が炎症を燃やし続けます。結果として、通っているのに数値が改善しないという状況が生まれます。
具体的には、歯ぐきを数ミリ切開して開き(フラップ=めくり上げる歯ぐきの弁のこと)、露出した歯の根の表面を目視しながら清掃します。汚れた組織を除去し、必要に応じて骨の形を整え、最後に歯ぐきを元の位置に戻して縫合します。所要時間は範囲にもよりますが、おおむね60分前後です。
ポイント:フラップ手術は「歯を抜くための手術」ではなく「歯を残すための手術」です。見えない場所を見える状態にして、確実に治すことが最大の目的になります。
手術が必要と判断される基準
結論として、フラップ手術の適応は基本治療をやり切ったうえで、なお改善しない深いポケットが残っているかで判断します。いきなり手術という流れにはなりません。
その理由は、歯周病治療が段階を踏む治療だからです。まず歯みがきの方法を整え、歯石除去(スケーリング)と歯ぐきの内側のお掃除(SRP)を行います。多くの方はこの段階で炎症が収まり、歯ぐきが引き締まってポケットも浅くなります。
再検査をして、それでも深い部分が残った場合に初めて外科的な選択肢が挙がる、という順序です。
判断に使われる主な指標
| 確認項目 | 手術を検討する目安 | 意味すること |
|---|---|---|
| ポケットの深さ | 再検査でも5〜6mm以上 | 器具が底まで届かない領域が残っている |
| 出血の有無 | 検査時に出血が続く | 内部で炎症が活動している |
| 骨の形 | レントゲンで深い凹みがある | 形を整えないと汚れが溜まり続ける |
| 根の分かれ目 | 奥歯の根の股に病変 | 構造上、通常清掃では届かない |
| セルフケア | 磨けている状態が維持できる | 術後の再発を防げる条件が揃う |
具体例として、当院に高知県から通われていた50代の患者様は、初診時に奥歯のポケットが7mmありました。基本治療を3か月続けたところ前歯側は3mmまで改善しましたが、奥歯だけ6mmで止まりました。そこで該当部位に限定してフラップ手術を行い、その後は3mm台で安定しています。
このように、口全体ではなく改善しなかった部位だけを対象に絞るのが現在の一般的な考え方です。
手術を見送ることもある理由
結論として、ポケットが深いからといって全員に手術をするわけではありません。手術をした方が結果が良くなると見込める場合にだけ実施するのが原則です。
理由は単純で、手術は組織に負担をかける処置だからです。得られる改善よりリスクや負担が上回る状況では、行わない判断が正しい医療になります。
慎重に検討するケース
- 日々の歯みがきがまだ安定していない場合(術後に再発しやすいため、先にセルフケアを整えます)
- 血糖値のコントロールが不安定な場合(治りが遅くなるため、内科と連携して時期を調整します)
- 血液をさらさらにするお薬を服用中の場合(主治医への確認が必要です)
- 喫煙習慣がある場合(歯ぐきの血流が悪く、治癒に影響します)
- 骨の支えが極端に失われ、歯の動揺が大きい場合(別の方針を検討します)
具体例として、当院では手術前に必ずお口の立体的なレントゲン(歯科用CT)で骨の形と量を確認します。平面のレントゲンでは判断しづらい骨の凹みの深さや広がりが立体的にわかるため、「開けてみたら想定と違った」という事態を避けられます。
また唾液検査や細菌検査で原因となっている菌の傾向を把握し、手術と並行して何を管理すべきかを設計します。原因に手を当てないまま形だけ整えても、再発を止めることはできないためです。
当日の流れと術後の経過
結論から言えば、フラップ手術は入院を伴わない外来処置です。過度に構える必要はありません。
理由は、局所麻酔で対象部位だけを確実に効かせる処置であり、体への負担が限定的だからです。緊張が強い方には、意識を保ったまま気持ちを楽にする方法もご用意しています。
一般的なスケジュール
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 手術当日 | 麻酔、切開、清掃、縫合まで約60分。麻酔は2〜3時間で切れます |
| 1〜3日目 | 腫れや鈍い痛みのピーク。処方薬でコントロールします |
| 1週間前後 | 抜糸。この頃には日常生活の不便はほぼ解消します |
| 1〜2か月 | 歯ぐきが引き締まってくる時期。再検査で数値を確認 |
| 3か月以降 | 定期管理へ移行。維持できているかを継続確認 |
具体例として、遠方からお越しの患者様には通院回数を圧縮する計画を立てます。八幡浜市・大洲市・宇和島市、そして高知県からのご来院では片道の移動時間が長くなるため、検査と説明を同日にまとめる、抜糸のタイミングを他の処置と重ねるといった調整を行っています。
当院はエミフルMASAKIから車で5分の立地で駐車場も確保しており、お車での来院がしやすい環境です。
術後に歯ぐきが下がったように感じることがあります。これは腫れが引いて本来の位置に戻った状態であり、治癒が順調に進んでいるサインです。事前にご説明していますのでご安心ください。
手術後こそが本当の勝負
結論として、フラップ手術の成否は手術そのものよりも、その後の管理で決まります。ここを軽視すると、せっかく改善した状態が数年で元に戻ってしまいます。
理由は、歯周病が細菌による慢性の病気だからです。手術で汚れを取り除いても、口の中の細菌がゼロになるわけではありません。清掃しやすい形に整えた歯ぐきを、その後も清潔に保てるかどうかが分岐点になります。
具体例として、当院ではスタッフ総勢40名・歯科医師6名以上の体制のもと、担当の歯科衛生士が継続して経過を見守ります。同じ担当者が診ることで、わずかな歯ぐきの色や出血の変化に気づけるためです。
手術を担当した歯科医師と衛生士が情報を共有し、3か月ごとの管理計画を立てます。個室・半個室の診療室でお話しやすい環境を整えているほか、小さなお子様のいる方には保育士による無料託児をご利用いただけます。通い続けられる環境そのものが、治療結果を左右する要素だと考えています。
よくあるご質問

まとめ
フラップ手術は、基本治療をやり切ってもなお深い歯周ポケットが残る場合に検討される、歯を残すための処置です。ポケットの深さ、出血の有無、骨の形、セルフケアの状態を総合して判断します。
大切なのは、手術が目的ではなくその後を安定して維持できる状態をつくることです。歯ぐきの腫れや出血が続いている方、治療を続けても数値が変わらない方は、一度詳しい検査を受けてみてください。南予・高知からのご相談もお待ちしています。
当院について
医院情報
| 医院名 | 愛媛インプラントクリニック かまくら歯科 |
| 住所 | 愛媛県伊予郡松前町鶴吉806 |
| 電話 | 089-984-0002(予約制) |
| アクセス | エミフルMASAKIから車で5分 |
| 公式サイト | kamakura-dental.jp |
診療時間
| 曜日 | 午前 | 午後 |
|---|---|---|
| 月〜金 | 9:00〜13:00 | 14:00〜18:00 |
| 土曜 | 9:00〜13:00 | 14:00〜17:00 |
| 日・祝 | 休診 | |
院長プロフィール
鎌倉 聡(かまくら さとし)
愛媛インプラントクリニック かまくら歯科 院長
「一生自分の歯で美味しく食事ができる喜びを」をモットーに、最新のデジタル設備(iTero・歯科用CT・マイクロスコープ等)を活用した精密治療を提供。インプラント・矯正治療をはじめ、虫歯・歯周病・根管治療など幅広い歯科治療において愛媛県内外で有数の症例実績を持つ総合歯科クリニックの院長。
通院エリア
松前町・松山市・伊予市はもちろん、八幡浜市・大洲市・宇和島市・西条市・今治市・新居浜市・四国中央市、さらには高知県からも多くの患者様にご来院いただいております。
遠方の方もお気軽にご相談ください。
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