すき間を閉じるだけでは届かなかった、出っ歯の症例
2026年10月16日
前歯にすき間がある。口元も前に出ている気がする。相談には行ってみたけれど、予約の時間が合わなくてそのままになっている。
今回ご紹介するのは、20代の男性の症例です。ご相談で最初に挙がったのは、上の前歯のすき間でした。
目次
最初のご相談

治療前。上下の前歯にすき間があり、上の前歯が前に出ています
この方は、以前に別の医院で矯正の相談をされていました。ただ、お仕事の都合で来院できる曜日が定まらず、そこでは進められないままになっていたそうです。
当院での初診時にも、予約についてのご希望を先に伺いました。治療を始められるかどうかは、通える予定を組めるかで決まります。ここは技術の話より前に、確かめておく必要があります。

治療前の上あご。前歯のあいだが空いています
前に出ているのは、上の歯だけの話ではありませんでした
検査をして、口の中をスキャンし、レントゲンで上下のあごの位置関係を見ました。
上の前歯が前に出ていることは、見たとおりでした。ただ、それだけではありませんでした。下あごが後ろに下がった位置にあり、そのぶん上の前歯の出方が強調されて見えていました。
ここが分かると、やるべきことが変わります。上の歯を並べてすき間を閉じるだけでは、口元全体の見え方までは届きません。下あごの位置にも働きかける計画が要る。そう判断しました。
3つの案を並べて、ご本人に選んでいただきました
マウスピース型の装置には、動かす範囲に応じた複数のプランがあります。この方には3つの案を並べてご説明しました。
| 案 | できること |
|---|---|
| 範囲の狭いプラン | 費用と期間は抑えられるが、この方の状態には届かない |
| 中間のプラン | アンカースクリューを併用すれば、歯を並べるところまでは可能 |
| 範囲の広いプラン | 歯を並べたうえで、下あごを前の位置へ導くところまで行う |
安く早く終わる方法があっても、目的に届かないなら意味がない。そのことをお伝えしたうえで、お若いうちに取り組めるなら3つめをおすすめしますと申し上げました。ご本人が選ばれたのも、この案でした。
画面で歯の動きを見ていただき、後日あらためて時間をとってご相談しています。その場で決めていただく必要はありません。
前歯を動かすための、小さなネジ
前歯を思うところへ動かすには、引っ張るための足場が必要です。歯だけを足場にすると、引っ張った側も動いてしまいます。

上あごの歯ぐきに見える小さな金具が、支えとして使っているネジです。そこから前歯へゴムがかかっています
そこで、上あごの前歯のわきに小さなネジを入れました。外側と内側の両方に入れています。直径は1.6ミリから2ミリ、長さは6ミリから8ミリほどの大きさです。
入れる場所は、事前にCTで歯の根の位置を確かめてから決めます。入れるときは麻酔をします。数分で終わり、その日から普段どおりです。治療が終われば外します。
歯を並べてから、下あごを前へ
計画は二段構えでした。まずネジとゴムを使って上の歯を並べ、すき間を閉じていきます。そのうえで、下あごを前の位置へ導く形のマウスピースへ切り替えます。
この装置は、はめているあいだ下あごが前の位置に収まるようにできています。装着しながら、下あごを前に出して口を閉じることを意識していただく。ここは装置とご本人の両方で進める工程です。
経過のなかで、口元の見え方も少しずつ変わっていきました。
日常のなかで進みます
装置は透明で薄いつくりです。1日20時間ほど装着し、決まった日数ごとにご自身で次のものへ交換します。食事のときは外せます。
ゴムをかける工程は、ご自宅での作業になります。かけ方は来院のたびに図でお渡ししました。ここだけは、毎日の積み重ねで進みます。
この方はお仕事の予定が読みにくい方でしたので、来られる週が決まった時点でご連絡いただく形にしました。通いやすさは、こちらで調整できる部分です。
並びました

治療後。すき間が閉じ、前歯の位置が変わっています

治療後の上あご。前歯のあいだが閉じました
ここからは、この形を保つ期間に入ります。矯正では保定と呼ぶ工程で、動いた歯が元へ戻ろうとする力を受け止めるためのものです。
よくあるご質問
Q. 通える曜日が決まっていません。始められますか
来院の間隔は2か月に1回ほどで、多少前後しても進み方に大きくは響きません。予定が読みにくい方には、来られる週が決まった時点でご連絡いただく形をご案内しています。初診でご事情をお聞かせください。
Q. すき間だけを閉じることはできますか
できる場合もあります。ただ、上下のあごの位置関係が関わっているときは、すき間を閉じても口元の見え方までは変わらないことがあります。検査で見分けがつきますので、まず状態を確かめるところからです。
Q. 骨にネジを入れると聞くと不安です
事前にCTで歯の根の位置を確かめ、麻酔をして数分で入ります。歯ぐきを切って縫うような処置ではありません。入れた当日から食事も運動も通常どおりです。治療が終わったら外し、跡は自然にふさがります。
Q. 大人になってからでも、下あごの位置に働きかけられますか
できる場合があります。どこまで見込めるかは、あごの位置関係と噛み合わせの状態によって変わります。お若いほうが取り組みやすい面はありますので、気になった時点で一度検査を受けていただくのがよいと思います。
Q. 他院で相談しましたが、決めきれずにいます
この症例の方も、別の医院でご相談されたうえでお越しくださいました。複数の医院でお話を聞かれるのはよいことだと思います。当院では検査のあと、歯がどう動くかを画面でお見せしながらご説明します。

相談だけで止まっている方へ
一度相談に行ったきり、そのままになっている。理由が予約の都合だったり、費用の見当がつかなかったりする。よくあることだと思います。
検査をすれば、何がどこまでできるかは画面で見られます。そのうえで、進めるかどうかをお決めいただけます。通院の都合も、先に伺っていれば計画に織り込めます。
「話だけ聞きたい」という段階で構いません。
治療前と治療後

この症例について
| 患者様 | 21歳 |
|---|---|
| 治療部位 | すきっ歯と前突 |
| 治療内容 | マウスピース型矯正装置に矯正用アンカースクリューを併用して上あごの歯を整えたうえで、下あごを前方へ誘導するマウスピースを使用 |
| 治療期間 | 約1年9か月 |
| 費用 | 1,111,000円(税込) |
| 主なリスク・副作用 | ・初めの数日は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1,2週間で慣れることが多いです。 ・装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。 ・歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。 ・歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。 |
掲載についてご本人の同意をいただいています。1例であり、治療の内容・期間・結果には個人差があります。同様の結果を保証するものではありません。
当院には松山市から通われている方が多く、検査やご相談だけを目的にお越しになることも珍しくありません。
気になることがあれば、一度ご相談ください
この治療は自由診療です(保険適用外)
標準的な費用:インビザライン ライトプラン 片顎385,000円/上下550,000円(税込)、スタンダードプラン 上下715,000円(税込)、エキスパートパッケージ 上下913,000円〜946,000円(税込)、ワイヤー矯正 上下946,000円(税込)。調整料は別途1回3,300円(税込)。相談料・検査診断料・保定料は0円です。
治療期間・回数:ライトプラン約3か月半、スタンダードプラン約6か月、本格矯正は1〜3年が目安です。遠隔チェックの利用で通院は3〜4か月に1回まで減らせる場合があります。
リスク・副作用:装置装着後の痛みや違和感、歯根の吸収、歯ぐきの退縮が生じることがあります。マウスピース型矯正装置は決められた装着時間を守らないと計画どおりに進みません。治療後に後戻りが起こることがあるため、保定装置の使用が必要です。
費用は2026年8月時点のものです。治療結果には個人差があります。詳細は診察時にご説明いたします。
この記事の監修者
鎌倉 聡
愛媛インプラントクリニック かまくら歯科 院長/歯科医師
日本口腔インプラント学会 専門医、ICOI国際インプラント学会 専門医・指導医、日本歯周病学会 歯周病専門医
最終監修日:2026年9月11日












