前歯のすき間を、奥歯を動かさずに閉じた症例
2026年10月2日
前歯にすき間がある。写真を撮るとき、少し口元が気になる。矯正を考えてはいるけれど、どのくらいかかるのか見当がつかない。
今回ご紹介するのは、上下の前歯のすき間をマウスピース型の装置で閉じた症例です。20代の男性で、奥歯には一切手を加えず、前歯だけを動かして仕上げています。
どんな順番で進んだのかをご紹介します。
目次
ご相談の内容と、最初の検査

治療前。上下の前歯に、いくつかすき間があります
ご相談は「すきっ歯が気になる」というものでした。ご家族の紹介でお越しくださっています。
パノラマとCT、口の中のスキャンで状態を確認しました。虫歯はなく、歯ぐきの状態も落ち着いていました。矯正を始める前に治しておく必要のあるものは、ありませんでした。

治療前の上あご。前歯のあいだが空いています
奥歯は動かさない、という設計
検査で分かったことのなかで、いちばん大きかったのは奥歯の噛み合わせが良いという点でした。
噛み合わせが整っている奥歯は、動かす必要がありません。それどころか、前歯を寄せるときの支えとして使えます。
動かす歯が少なくなると、治療の見通しが立てやすくなります。奥歯まで動かす計画に比べて、確かめる工程も減ります。今ある良いところを、そのまま活かすという考え方です。
この方針は、口の中をスキャンしたデータをもとに、動かし方をコンピュータ上で組み立てたうえで決めています。装置を作る前に、どの歯がどこへ動くかを見ていただけます。
日常のなかで進みます
マウスピース型の装置は、透明で薄いつくりです。1日20時間ほど装着していただき、決められた日数ごとにご自身で次のものへ交換します。
食事のときは外していただけます。歯みがきも普段どおりできます。装置がついたままにならないので、口の中を清潔に保ちやすいのが、この方法の良いところです。
来院は2か月に1回ほど。ご都合に合わせて間隔を調整できます。この方は平日の限られた曜日しかお越しになれませんでしたが、その前提で予定を組みました。
すき間が閉じました

治療後。前歯のすき間が閉じ、上下の歯が接しています

治療後の上あご。歯列の形が整っています
奥歯の位置は、治療前と変わっていません。動かしたのは前歯だけです。
この形を保つための工夫
すき間を閉じたあとは、元の位置に戻ろうとする力が働きます。矯正では、ここを支えるしくみを保定と呼びます。
方法は2つあります。歯の裏側に細いワイヤーを付けておく方法と、透明なマウスピースを夜間に使う方法です。
| 方法 | 向いている方 |
|---|---|
| 裏側のワイヤー | 付け外しの手間をかけたくない方。歯みがきに少し工夫が要ります |
| マウスピース | きちんと使える方。外して磨けるので、清潔に保ちやすくなります |
当初はワイヤーでご案内していました。ただ治療のあいだ、この方はマウスピースを毎日きちんと使ってくださっていました。それなら、清掃しやすいマウスピースのほうが向いている。そう判断して、保定もマウスピースで始めています。
保定の方法は、途中で変えられます。もし戻る動きが見られたら、そのときにワイヤーへ切り替えます。最初にひとつ選んだら終わり、ではありません。
よくあるご質問
Q. すきっ歯だけを直すこともできますか
奥歯の噛み合わせが整っていれば、前歯だけを動かす計画が立てられます。この症例もその形でした。まず検査で、奥歯がどういう状態かを確かめるところからです。
Q. 装置は目立ちますか
透明で薄いつくりのため、近くで見ても気づかれにくいものです。食事のときは外していただけるので、会食の予定があっても支障になりません。
Q. 途中で通えなくなったらどうなりますか
来院の間隔は調整できます。お仕事の都合で来られる曜日が限られる場合も、その前提で予定を組みます。まずご事情をお聞かせください。
Q. 終わったあと、また戻ってしまいませんか
動いた歯には元へ戻ろうとする力が働くため、保定という工程を必ず行います。ワイヤーとマウスピースのどちらが向いているかは、治療中の様子を見ながらご相談して決めます。途中で変えることもできます。
Q. 他院でも相談しましたが、決めきれずにいます
複数の医院でお話を聞かれるのは、よいことだと思います。この症例の方も、他院でご相談されたうえでお越しくださいました。当院では検査のあと、動かし方をコンピュータ上でお見せしながらご説明します。そのうえでお決めください。

まず、今の状態を見せてください
すき間があるといっても、原因も、動かす範囲も、人によって違います。奥歯まで含めた計画が要る場合もあれば、この症例のように前歯だけで済む場合もあります。
どちらになるかは、検査をすれば分かります。口の中をスキャンして、歯がどう動くかを画面でお見せできますので、始める前にご自身で確かめていただけます。
「やるかどうかはまだ決めていない」という段階で構いません。まずは今の状態を見せてください。
治療前と治療後

この症例について
| 患者様 | 28歳 |
|---|---|
| 治療部位 | 空隙歯列 |
| 治療内容 | マウスピース型矯正装置(インビザライン)で上下前歯のすき間を閉じた |
| 治療期間 | 約1年5か月 |
| 費用 | 715,000円(税込) |
| 主なリスク・副作用 | ・初めの数日は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1,2週間で慣れることが多いです。 ・装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。 ・歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。 ・歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。 |
掲載についてご本人の同意をいただいています。1例であり、治療の内容・期間・結果には個人差があります。同様の結果を保証するものではありません。
この治療は自由診療です(保険適用外)
標準的な費用:インビザライン ライトプラン 片顎385,000円/上下550,000円(税込)、スタンダードプラン 上下715,000円(税込)、エキスパートパッケージ 上下913,000円〜946,000円(税込)、ワイヤー矯正 上下946,000円(税込)。調整料は別途1回3,300円(税込)。相談料・検査診断料・保定料は0円です。
治療期間・回数:ライトプラン約3か月半、スタンダードプラン約6か月、本格矯正は1〜3年が目安です。遠隔チェックの利用で通院は3〜4か月に1回まで減らせる場合があります。
リスク・副作用:装置装着後の痛みや違和感、歯根の吸収、歯ぐきの退縮が生じることがあります。マウスピース型矯正装置は決められた装着時間を守らないと計画どおりに進みません。治療後に後戻りが起こることがあるため、保定装置の使用が必要です。
費用は2026年8月時点のものです。治療結果には個人差があります。詳細は診察時にご説明いたします。
この記事の監修者
鎌倉 聡
愛媛インプラントクリニック かまくら歯科 院長/歯科医師
日本口腔インプラント学会 専門医、ICOI国際インプラント学会 専門医・指導医、日本歯周病学会 歯周病専門医
最終監修日:2026年9月11日












