オールオン4が向く骨、向かない骨
2026年10月5日
「骨が痩せているので、インプラントは難しい」と言われた。けれどオールオン4という方法があると聞いた。
4本のインプラントで、片方のあご全体の歯を支える方法です。条件が合えば負担の少ない選び方になりますが、どんな骨の状態でも選べるわけではありません。
何をもって「向いている」と判断しているのかを、順にご説明します。

骨が痩せるのは、奥から先です
歯を失ったあごの骨は、全体が同じように痩せるわけではありません。
上あごには、奥歯の上に上顎洞という空洞があります。鼻につながる部屋です。奥歯を失うと、この空洞が下へ広がってきて、骨の厚みが薄くなります。下あごでは、奥のほうに神経の通る管が走っていて、その上の骨しか使えません。
一方、前歯のあたりの骨は、比較的あとまで残ります。上顎洞も神経の管もないためです。
オールオン4は、この残り方を利用した設計です。
4本をどこに、どう入れるか
片方のあごに4本を入れます。位置と角度が決まっています。
| 本数 | 入れる場所と向き |
|---|---|
| 前の2本 | 前歯のあたりに、まっすぐ入れます |
| 奥の2本 | 犬歯の少しうしろから、斜めに傾けて入れます。先端が奥へ届くため、骨の薄い場所を避けながら支えを広げられます |
傾けて入れることに意味があります。まっすぐ入れると骨の薄い奥に届いてしまいますが、斜めにすれば骨の厚い部分に長いインプラントを収められます。支える範囲も広がり、4本でも歯を支えられます。
骨を増やす手術を避けられる場合があるのは、この工夫によるものです。
向いているかどうかは、この3つで決まります
検査で見ているのは、主に次の3点です。
| 見るところ | 確かめていること |
|---|---|
| 前歯のあたりの骨 | 4本を支えられる高さと厚みが残っているか。ここが足りなければ、この設計は選べません |
| 骨の質 | 厚みがあっても、中身がやわらかければ支える力が変わります |
| 噛み合わせと噛む力 | 食いしばりの強い方では、4本にかかる負担が大きくなります |
これらは歯科用CTで立体的に確かめます。平面のレントゲンでは、骨の厚みや神経の位置までは読めません。

当てはまらないときの選び方
前歯のあたりの骨も足りない場合、4本では支えきれません。そのときは、別の設計を考えます。
本数を増やす。5本、6本と増やせば、1本あたりの負担が下がります。骨のある場所が点在しているときに向きます。
骨を増やしてから入れる。足りない場所に骨を足す手術を先に行います。期間は延びますが、選べる位置が広がります。
別の骨を使う。上あごでは、頬骨に届く長いインプラントを使う方法もあります。上あごの骨がほとんど残っていない場合の選択肢です。
「オールオン4ができない=インプラントができない」ではありません。どの設計が合うかを、骨の残り方から決めていきます。
入れたあとに続くこと
4本で全体を支えるということは、1本あたりにかかる力が大きいということでもあります。
噛み合わせの当たり方を整えておくこと、定期的に確かめることが、ほかの設計より大事になります。ねじのゆるみや、まわりの歯ぐきの状態は、ご自身では気づけません。
上に載せる歯は、外して洗える作りにできます。清掃のしやすさは、長く使ううえで効いてきます。
よくあるご質問
Q. 他院で「骨がないから無理」と言われました
どの場所の骨が、どれだけ足りないのかによって話が変わります。奥の骨がなくても、前歯のあたりが残っていれば選べる設計があります。CTで確かめたうえでご説明します。同じ結論になることもありますが、その場合も理由をお伝えします。
Q. 総入れ歯と、どちらがよいのでしょうか
どちらが優れているという話ではなく、何を大事にされるかで変わります。取り外して洗える手軽さを取るのか、固定されている安定を取るのか。ご希望と、骨の状態の両方を見て決めていきます。
Q. 手術は1日で終わりますか
埋める処置は片方のあごで1日です。そのあと、骨と結びつくのを待つ期間があり、最終的な歯が入るまでには段階があります。待つあいだも歯のない状態にはしません。
Q. 上下の両方に必要な場合はどうなりますか
上と下では骨の条件が違いますので、それぞれで設計を考えます。片方だけオールオン4、もう片方は別の方法、という組み合わせになることもあります。
まず撮ってみるところから
向いているかどうかは、お口を見るだけでは分かりません。骨の中のことだからです。
CTを撮れば、どこにどれだけ骨があるかが立体で見えます。そのうえで、選べる方法をご説明します。結果を見てから、進めるかどうかをお決めください。
他院で撮られた資料をお持ちいただいても構いません。
この治療は自由診療です(保険適用外)
オールオン4
標準的な費用:片顎オペ費用 198万円(税込・上部構造代別)。上部構造はメタルフレーム 68.2万円(税込)/ジルコニア 161.7万円(税込)。静脈内鎮静法を行う場合は11万円(税込)が加算されます。
治療期間・回数:標準的な治療期間は7〜8か月です。手術当日に仮の歯が入ります。
リスク・副作用:副作用・リスクは術後の腫れ、痛み、出血など。インプラント周囲炎を防ぐため、治療後も定期的なメインテナンスが必要です。
インプラント
標準的な費用:臼歯 1本 506,000円(税込)/前歯 1本 550,000円(税込)。骨を増やす手術(GBR)を併用する場合は1本につき88,000円(税込)、ソケットリフト88,000円(税込)、サイナスリフト440,000円(税込)、ブロック骨移植1本220,000円(税込)が加算されます。
治療期間・回数:標準的な治療期間は3〜6か月、来院回数は5〜7回程度が目安です。骨を増やす処置を併用する場合はさらに数か月かかります。
リスク・副作用:副作用・リスクは術後の腫れ、痛み、出血など。まれに神経の損傷によるしびれが生じることがあります。インプラント周囲炎を防ぐため、治療後も定期的なメインテナンスが必要です。
費用は2026年8月時点のものです。治療結果には個人差があります。詳細は診察時にご説明いたします。
この記事の監修者
鎌倉 聡
愛媛インプラントクリニック かまくら歯科 院長/歯科医師
日本口腔インプラント学会 専門医、ICOI国際インプラント学会 専門医・指導医、日本歯周病学会 歯周病専門医
最終監修日:2026年9月17日












