話しにくさと噛み合わせは、どこでつながっているか
2026年10月12日
サ行が抜ける。タ行が濁る。歯の治療をしたあと、話しにくくなった。
話し方のご相談は、歯科に持ち込まれるものだと思われていないことがあります。ただ、音を作っているのは、舌と歯と唇です。そのうちの二つは、歯科が扱っているものです。

目次
音は、空気の通り道で決まります
声そのものは喉で作られます。それが言葉になるのは、口の中を通るあいだです。
サ行では、舌の先を上の前歯の裏あたりに近づけ、細い隙間を作って息を通します。タ行では、そこを一度ふさいで離します。どちらも、舌と歯の位置関係が土台です。
上下の前歯のあいだに隙間があると、息が逃げます。前歯が前に出ていれば、舌が届く距離が変わります。どこかが変われば、音も変わります。
噛み合わせの形と、出にくい音
| 口の中の状態 | 影響が出やすい音 |
|---|---|
| 上下の前歯が噛み合わない | サ行・タ行。息が前へ抜けます |
| 前歯が前に出ている | パ行・バ行・マ行。唇を閉じにくくなります |
| 下の前歯が前に出ている | サ行。舌の当たる位置がずれます |
| 歯のあいだに隙間がある | 息が漏れ、こもった響きになります |
ただし、同じ形でも、はっきり話される方はいらっしゃいます。舌の使い方で補えるためです。形と発音は、そのまま一対一で結びつくものではありません。
舌の置き場所
話していないとき、舌はどこにあるでしょうか。
本来の位置は、上あごの天井に軽く触れているあたりです。ここにあると、話し始めるときに動き出す距離が短くて済みます。
舌が下に落ちている方では、そこから毎回持ち上げることになります。舌が前歯を押す癖があると、歯並びのほうも動きます。発音と歯並びは、同じところでつながっています。

治療のあとに話しにくくなったとき
被せ物や入れ歯を入れたあと、しばらく話しにくいことがあります。厚みや形が少し変わるだけで、舌にとっては別の場所になるためです。
多くは、数日から2週間ほどで慣れていかれます。舌が新しい形を覚えるまでの時間です。
ただ、慣れても戻らない場合は、形のほうを調整できることがあります。我慢して使い続ける前に、お知らせください。削って薄くする、厚みを足す。どちらも後から手を入れられます。
歯科でできること、そうでないこと
噛み合わせの形が関わっているなら、そこは歯科の領域です。
一方、形は整っているのに特定の音が出ない場合は、音を作る動きのほうに理由があります。この場合は、言語の専門家に診ていただくほうが確かです。まず、形の側に理由があるかどうかを分けること。そこが、歯科でお役に立てる部分です。
よくあるご質問
Q. 矯正をすれば、発音は良くなりますか
形が理由になっている場合は、変わることがあります。ただ、歯並びを整えれば必ず良くなると申し上げられるものではありません。動きの側に理由があれば、そちらの練習が要ります。検査で、どちらが関わっているかを分けてご説明します。
Q. 矯正の装置をつけると、話しにくくなりますか
つけた直後は、言いにくい音が出ることがあります。多くの方は1週間ほどで慣れます。お仕事で人前に立つ方には、慣れる時期を予定に合わせて始めることもできますので、ご相談ください。
Q. 子どもの話し方が気になります
成長とともに変わる時期がありますので、年齢によって見方が変わります。歯の生えかわりの状態とあわせて見たうえで、様子を見てよい段階か、相談したほうがよい段階かをお伝えします。
Q. 入れ歯でも話しやすくできますか
厚みや、上あご側の覆う範囲を調整することで、変えられる部分があります。作る段階で話していただきながら合わせる方法もあります。話しにくさがあれば、そのままにせずお伝えください。
話しにくさは、伝えていただかないと分かりません
噛めるかどうかは、診察で確かめられます。話しやすいかどうかは、伺わないと分かりません。
治療のあとに気になることがあれば、次の来院でお聞かせください。細かすぎるということはありません。形に理由があるなら、調整できます。
この治療は自由診療です(保険適用外)
標準的な費用:インビザライン ライトプラン 片顎385,000円/上下550,000円(税込)、スタンダードプラン 上下715,000円(税込)、エキスパートパッケージ 上下913,000円〜946,000円(税込)、ワイヤー矯正 上下946,000円(税込)。調整料は別途1回3,300円(税込)。相談料・検査診断料・保定料は0円です。
治療期間・回数:ライトプラン約3か月半、スタンダードプラン約6か月、本格矯正は1〜3年が目安です。遠隔チェックの利用で通院は3〜4か月に1回まで減らせる場合があります。
リスク・副作用:装置装着後の痛みや違和感、歯根の吸収、歯ぐきの退縮が生じることがあります。マウスピース型矯正装置は決められた装着時間を守らないと計画どおりに進みません。治療後に後戻りが起こることがあるため、保定装置の使用が必要です。
費用は2026年8月時点のものです。治療結果には個人差があります。詳細は診察時にご説明いたします。
この記事の監修者
鎌倉 聡
愛媛インプラントクリニック かまくら歯科 院長/歯科医師
日本口腔インプラント学会 専門医、ICOI国際インプラント学会 専門医・指導医、日本歯周病学会 歯周病専門医
最終監修日:2026年9月14日












