インプラントの長さは、神経までの距離で決まります
2026年11月5日
インプラントは、骨に埋める部品の長さを選べます。長いほうが安定するなら、長いものを入れればよいはずでしょう。
ところが、そうはいきません。10ミリのものを入れたくても、入れられない方がいらっしゃいます。骨の下に、通してはいけないものが走っているからです。
この記事では、長さがどう決まるのかをお話しします。松山市からご相談にお越しになる方にも、はじめにお伝えしている内容です。

カウンセリングの様子です。画像をご覧いただきながら、どこに入れられるかをご説明します。
下あごの骨には、神経の通る管があります
下あごの骨の中には、太い管が1本走っています。この中を神経と血管が通っているのです。
この神経は、下の歯と唇、あごの皮膚の感覚を担っています。傷つけると、しびれが残ってしまいます。
ですから、管に届かない長さを選ぶほかありません。奥歯のあたりで骨の高さが12ミリしかなければ、10ミリのものは入れられません。管までの距離で、使える長さが先に決まってしまうのです。
この管の走り方は、人によって違います。まっすぐ通っている方もいれば、途中で曲がっている方もおられるのです。左右で高さが違う方も珍しくありません。
ですから、一般的な数字では決められません。その方の骨を測るしかないのです。
上あごでは、別のものが相手になります。鼻の横にある空洞です。この底を破らない高さで収めなければなりません。
この空洞は、歯を失ってから時間が経つと下へ広がってきます。長く入れ歯で過ごされた方では、残っている骨が数ミリまで薄くなっていることもございます。
短くても、支えられる方法があります
では、短いものしか入らない方はあきらめるのでしょうか。
そうではございません。長さが取れないなら、太さで補う。本数を増やして力を分ける。手はいくつかございます。
骨の高さそのものを足す方法もございます。足りない部分に骨に変わる材料を入れ、時間をかけてご自身の骨に置き換えていく処置です。
どれを選ぶかは、骨の形と、噛む力のかかり方しだいでしょう。
決めるのは長さだけではありません
インプラント治療は、骨にチタン製のネジを入れるだけの処置ではございません。
どの位置に入れるか。どの角度で入れるか。どの深さまで入れるか。長さと合わせて、この4つを先に決めておくのです。
角度がずれると、上に載せる歯の向きが変わります。噛み合わせの面が傾けば、力が斜めにかかります。斜めの力は、まっすぐの力より部品に負担をかけてしまいます。
深さも同じです。浅すぎれば金属の部分が歯ぐきから見えてしまいます。深すぎると、歯ブラシや歯間ブラシが届きません。掃除ができない場所は、あとで必ず問題になるでしょう。
前歯では、ここがとくに難しくなります。見た目に直接出るからです。隣の歯との間の歯ぐきの高さまで計算に入れて、位置を決めていくわけです。
当院では歯科用CTを撮り、画面の上で計画を立てます。管までの距離、空洞までの高さ、骨の厚み。これらを測ってから、入れるものを選んでいきます。

手術室です。入れる位置と角度は、この日より前に決まっています。
計画した位置へ正確に入れるため、X-Guideというナビゲーションの装置を使っております。いま削っている場所が計画とどれだけずれているか、手術のあいだ画面で見えます。
短いものを入れる方ほど、この確かめ方が効きます。余裕が少ないぶん、位置の正確さで補うほかありません。
よくあるご質問
短いインプラントは、長いものより弱いのでしょうか
長さだけで決まるものではございません。太さ、本数、骨の硬さ、上に載せる歯の形。これらが組み合わさって、力の受け止め方が決まります。短くても、設計次第で長く使っていただける場合があります。
神経に近いと言われました。やめたほうがよいですか
近いこと自体が理由になるわけではありません。どれだけ余裕があるかをCTで測り、短いものを選ぶか、骨を足すか、場所をずらすかを検討します。まず測ってみないと判断できません。
レントゲンだけでは分からないのですか
平らな画像では、管が内側を通っているのか外側なのかが分かりません。奥行きのある画像を撮らないと、距離を測れないのです。
入れたあとに、何度も触らない設計にします
もうひとつ、設計で考えていることがございます。
骨に入れた部品は、歯ぐきの中に埋まっています。上に歯を載せるまでのあいだ、小さなキャップを被せておくのです。
型を取るときには、このキャップを外します。仮の歯を作るときも、調整のときも外さなければなりません。ここを何度も開け閉めすると、まわりの歯ぐきと骨が下がってきます。
ピアスの穴に例えると分かりやすいかもしれません。開けた穴を何度も針でいじれば、腫れますし痛むでしょう。体の中に入れたものも同じことです。
そこで、開け閉めの回数が少なく済むように工程を組みます。型取りと仮の歯の段取りを前もって決めておけば、触る回数は減らせるのです。
長さ、位置、角度、深さ、そして触る回数。この5つを、手術の前にまとめて決めておきましょう。
ご自身の骨がどうなっているかは、撮ってみれば分かること。まずそこからです。当院は愛媛県伊予郡松前町にございますが、松山市から車で20分ほど。駐車場は30台ございます。
噛み合わせ全体をどうするか、という話になることもございます。傾いた歯を起こしてから入れたほうがよい場合、マウスピース矯正やワイヤー矯正を先に挟みます。当院はどちらも扱っておりますので、インプラントと合わせて院内で組み立てられます。
治療を受けると決めてからお越しいただく必要はございません。通院は1か月から2か月に1回で、手術から確認までおよそ1年です。ほかの歯のご相談も、院内で続けて診られます。
他院で「神経に近いので難しい」と言われてそのままにしている方。まず距離を測るところから、ご相談ください。いま治療せずに経過をみるという選択も、もちろんございます。
気になることがあれば、一度ご相談ください
この治療は自由診療です(保険適用外)
標準的な費用:臼歯 1本 506,000円(税込)/前歯 1本 550,000円(税込)。All-on-4 片顎オペ費用 1,980,000円(税込)※上部構造費用別(メタルフレーム 682,000円(税込)、ジルコニアフレーム 1,617,000円(税込))。骨を増やす手術(GBR)を併用する場合は1本につき88,000円(税込)、ソケットリフト88,000円(税込)、サイナスリフト440,000円(税込)、ブロック骨移植1本220,000円(税込)が加算されます。
治療期間・回数:標準的な治療期間は3〜6か月、来院回数は5〜7回程度が目安です。骨を増やす処置を併用する場合はさらに数か月かかります。
リスク・副作用:副作用・リスクは術後の腫れ、痛み、出血など。まれに神経の損傷によるしびれが生じることがあります。インプラント周囲炎を防ぐため、治療後も定期的なメインテナンスが必要です。
費用は2026年8月時点のものです。治療結果には個人差があります。詳細は診察時にご説明いたします。
この記事の監修者
鎌倉 聡
愛媛インプラントクリニック かまくら歯科 院長/歯科医師
日本口腔インプラント学会 専門医、ICOI国際インプラント学会 専門医・指導医、日本歯周病学会 歯周病専門医
最終監修日:2026年10月21日












