総入れ歯とインプラントの噛む力を比較|松山市から通える歯科医師が解説
2026年9月4日
総入れ歯とインプラントの噛む力に関して、当院にはさまざまなご質問が寄せられます。
お盆に帰省したご家族と食卓を囲んだとき、「昔ほど食べられなくなったね」とご自身で感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
総入れ歯をお使いの方から当院に寄せられるご相談で最も多いのが、「噛めない」「味がしない」「食事が楽しくない」というお悩みです。
そして必ず出てくるのが、総入れ歯とインプラントでは、実際どれくらい噛む力が違うのかという疑問です。
この記事では、総入れ歯(全部床義歯)とインプラントの咀嚼能率を数値と臨床の両面から比較し、どちらがご自身に合っているのかを判断するための材料を、松山市から車で約20分の当院の視点でお伝えします。

目次
結論:噛む力は約3倍以上の差が出るとされています
先に結論からお伝えします。
総入れ歯とインプラントを比べたとき、噛む力(咬合力)と食べ物を細かくする効率(咀嚼能率)には、およそ3倍から4倍の差が生まれます。
なぜこれほどの差が出るのか。
理由は「力を受け止める場所」がまったく違うからです。
総入れ歯は歯ぐきの粘膜の上に乗っているだけの装置です。噛んだ力はやわらかい粘膜に伝わり、粘膜がへこむことで力が逃げてしまいます。
これに対してインプラントは、顎の骨の中に人工の歯根を固定し、その骨が直接力を受け止めます。骨は硬い組織ですから、力が逃げずに食べ物へ伝わるのです。
具体例で考えてみましょう。
スポンジの上に乗った板を思い浮かべてください。上から押しても、スポンジが沈むだけで下には力が伝わりません。これが総入れ歯の状態です。
一方、コンクリートの土台に固定された柱であれば、力はそのまま伝わります。これがインプラントです。
この構造の違いが、お肉やたくあん、するめといった噛みごたえのある食品を食べられるかどうかを決めています。
ポイント:総入れ歯とインプラントの違いは「装置の性能」ではなく「力を支える構造」の違いです。どれだけ精密な入れ歯を作っても、粘膜で支える限界は超えられません。
数値で比較する咀嚼能率の違い
歯科の分野では、噛む力を天然の歯を100とした指標で表すことがあります。
この基準で比較すると、それぞれの回復度合いは次のようになります。
| 治療法 | 噛む力の目安 | 食べにくい食品 |
|---|---|---|
| 天然の歯 | 100% | ほぼなし |
| インプラント | 約80〜90% | ごく硬いもののみ |
| インプラントオーバーデンチャー | 約50〜60% | 硬い肉・繊維質 |
| 総入れ歯(全部床義歯) | 約20〜30% | 肉・たくあん・ごぼう・ナッツ類 |
注目していただきたいのは、インプラントを2本から4本足すだけの「オーバーデンチャー」でも、噛む力が倍近くに跳ね上がるという点です。
これは、入れ歯が動かないように固定されるだけで、力の伝わり方が根本的に変わるためです。
入れ歯がずれる心配がなくなると、無意識にかけていた「そっと噛む」というブレーキが外れ、本来の力を使えるようになります。
数字以上に大きい「食べられる食品の幅」
パーセンテージ以上に生活に影響するのが、食べられる食品の種類です。
総入れ歯の方は、無意識のうちにやわらかい食品を選ぶようになります。ごはん、うどん、豆腐、卵といったメニューに偏りやすく、肉や野菜の摂取量が減っていきます。
その結果として、たんぱく質やビタミンが不足し、筋力の低下や体調不良につながることが指摘されています。
噛めることは、単に食事が楽しいかどうかの話ではなく、全身の健康を支える土台なのです。
総入れ歯の「外れる・痛い」はなぜ起きるのか
総入れ歯をお使いの方が抱える悩みは、噛めないことだけではありません。
「外れる」「当たって痛い」「話しにくい」といった問題も同じ根から生じています。
その理由は、総入れ歯が吸盤のように歯ぐきに吸着することで固定されているからです。
唾液の膜と密着によって保持されているため、口を大きく開けたり、下を向いたり、笑ったりするだけで簡単に外れてしまいます。
特に下顎の総入れ歯は、舌が動くたびに持ち上げられてしまうため、吸着だけで安定させることが構造上とても難しいのです。
さらに深刻なのが、顎の骨が痩せていくことです。
歯を失うと、骨に力が伝わらなくなり、使われない骨は年々細く低くなっていきます。
骨が痩せれば入れ歯の土手が平らになり、ますます外れやすくなります。作り直しても数年で合わなくなる、という悪循環が起きるのはこのためです。
ポイント:インプラントは骨に力を伝えるため、骨が痩せていくスピードを抑える働きも期待できます。噛めるようになるだけでなく、将来の土台を守る意味もあるのです。
3つの選択肢と、選び方の基準
すべての歯を失った方に対して、当院では大きく3つの選択肢をご提案しています。
どれが優れているという話ではなく、ご希望・骨の状態・ご予算によって最適解が変わります。
- 総入れ歯を作り直す:手術が不要で費用も抑えられます。精密な型取りと噛み合わせの記録で、既製品とは別物の安定感を出せる場合があります。
- インプラントオーバーデンチャー:2本から4本のインプラントで入れ歯を固定します。取り外して洗える利便性を残しながら、外れにくさが大きく改善します。
- 固定式のインプラント治療:4本から6本のインプラントで人工の歯を固定します。取り外し不要で、天然の歯に最も近い感覚が得られます。
判断の分かれ目になる3つの質問
カウンセリングでは、次の3点を必ずお伺いしています。
ひとつめは「今の入れ歯で何が一番つらいか」。外れることなのか、痛みなのか、噛めないことなのかで、必要なインプラントの本数が変わります。
ふたつめは「取り外して洗いたいか、固定したいか」。手先の器用さやご家族の介助状況も含めて考えます。
みっつめは「何年先まで見据えるか」。長期的な費用対効果を考えると、固定式のほうが結果的に負担が軽くなるケースもあります。
松山市の方へ:当院の精密診断と設備
長く総入れ歯をお使いの方は、顎の骨がかなり痩せていることが少なくありません。
だからこそ、限られた骨をどう活かすかという計画の精度が、治療の成否を大きく左右します。
当院では、お口の立体的なレントゲン(歯科用CT)で骨の厚み・高さ・硬さを立体的に把握し、神経や上顎の空洞の位置をミリ単位で確認します。
そのうえでコンピュータによる精密ナビゲーション手術(X-Guide)を用い、計画した位置と角度を手術中にリアルタイムで確認しながら進めます。
骨が少ない症例ほど、この誘導の有無が結果を分けます。
また、光学式の3D口腔スキャナー(iTero)による型取りは、大きな印象材を口に入れる必要がなく、えずきやすい方の負担を大きく減らせます。
院内には歯科技工士が常駐しており、噛み合わせの微調整をその場で反映できる体制を整えています。
スタッフ総勢40名・歯科医師6名以上の総合歯科クリニックとして、インプラント・歯周病・補綴の各分野の担当が連携し、松山市はもちろん伊予市・松前町、さらには西条市・大洲市・宇和島市や高知県からご来院いただく患者様の治療にあたっています。
よくあるご質問

まとめ
総入れ歯とインプラントの噛む力の差は、装置の良し悪しではなく、粘膜で支えるか骨で支えるかという構造の違いから生まれます。
総入れ歯が約20から30パーセントであるのに対し、インプラントは80から90パーセント、2本から4本を足すオーバーデンチャーでも50から60パーセントまで回復が期待できます。
大切なのは、ご自身の骨の状態とご希望に合った方法を選ぶことです。
松山市で入れ歯にお悩みの方は、まず検査でご自身の現状を知ることから始めてみませんか。
この記事の監修者
鎌倉 聡
愛媛インプラントクリニック かまくら歯科 院長/歯科医師
日本口腔インプラント学会 専門医、ICOI国際インプラント学会 専門医・指導医、日本歯周病学会 歯周病専門医
最終監修日:2026年8月25日
出典・参考資料
- 日本顎口腔機能学会『インプラント義歯装着者の機能評価のガイドライン』2022年
https://jssf.umin.ne.jp/
同ガイドラインでは、咬合力計で測定した最大咬合力が全部床義歯装着者群よりインプラントオーバーデンチャー装着者群で有意に大きいと報告されています。ただし測定方法によって結果は異なり、単一のインプラントでは反対側の天然歯列より小さいとする報告もあります。
本記事に記載した数値は、測定方法・対象・個人差によって結果が異なります。上記の出典で直接裏付けられていない数値についてはあくまで目安としてご覧ください。診断や治療方針は、実際の検査結果にもとづいて個別にご説明いたします。
この治療は自由診療です(保険適用外)
標準的な費用:臼歯 1本 506,000円(税込)/前歯 1本 550,000円(税込)。骨を増やす手術(GBR)を併用する場合は1本につき88,000円(税込)、ソケットリフト88,000円(税込)、サイナスリフト440,000円(税込)、ブロック骨移植1本220,000円(税込)が加算されます。
治療期間・回数:標準的な治療期間は3〜6か月、来院回数は5〜7回程度が目安です。骨を増やす処置を併用する場合はさらに数か月かかります。
リスク・副作用:副作用・リスクは術後の腫れ、痛み、出血など。まれに神経の損傷によるしびれが生じることがあります。インプラント周囲炎を防ぐため、治療後も定期的なメインテナンスが必要です。
費用は2026年8月時点のものです。治療結果には個人差があります。詳細は診察時にご説明いたします。
当院について
医院情報
| 医院名 | 愛媛インプラントクリニック かまくら歯科 |
| 住所 | 愛媛県伊予郡松前町鶴吉806 |
| 電話 | 089-984-0002(予約制) |
| アクセス | エミフルMASAKIから車で5分 |
| 公式サイト | kamakura-dental.jp |
診療時間
| 曜日 | 午前 | 午後 |
|---|---|---|
| 月〜金 | 9:00〜13:00 | 14:00〜18:00 |
| 土曜 | 9:00〜13:00 | 14:00〜17:00 |
| 日・祝 | 休診 | |
院長プロフィール
鎌倉 聡(かまくら さとし)
愛媛インプラントクリニック かまくら歯科 院長
「一生自分の歯で美味しく食事ができる喜びを」をモットーに、デジタル設備(iTero・歯科用CT・マイクロスコープ等)を活用した精密治療を提供。インプラント・矯正治療をはじめ、虫歯・歯周病・根管治療など幅広い歯科治療においてインプラント症例数6,000件以上(2006年4月〜2025年7月)、矯正治療実績1,753件(2014年〜2025年)を有する総合歯科クリニックの院長。
通院エリア
松前町・松山市・伊予市を中心に、南予(八幡浜市・大洲市・宇和島市)や東予(西条市・新居浜市・四国中央市)、さらに高知県からもご来院いただいております。
遠方の方もお気軽にご相談ください。
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