虫歯の症状と段階に沿った治療方法を紹介
2019年2月7日
虫歯になるまで
歯磨きをおろそかにしてしまったり、歯磨きする前に寝てしまったり、上手に磨けていない場合、白いネバネバとした物質が歯の表面にこびりつきます。これを歯垢またはプラークと呼びます。誰もが1度は耳にした覚えがあるのではないでしょうか。
みなさんは、この歯垢の正体がなにかご存知でしょうか。患者さまの中には歯垢は食べカスなどの塊だと勘違いしている人も見受けられますが、実はこの歯垢は虫歯菌であるストレプトコッカス・ミュータンス菌や歯周病菌などのお口の中に住み着く細菌の塊であります。
お口の中に潜む虫歯菌であるストレプトコッカス・ミュータンス菌が、食品に含まれている糖分を栄養にし、酸を生みだし、歯を溶かすことで虫歯となります。
ストレプトコッカス・ミュータンス菌はまず、歯の表面組織であるエナメル質の表面を溶かします。この働きを脱灰と呼び、この時点の状態は初期虫歯であり虫歯となる前の段階を意味します。驚くことに初期虫歯の状態であれば、自ら修復する力をもっています。唾液中の成分であるリンとカルシウムを歯が吸収し、元の健康な歯の状態に修復するのです。これを再石灰化と呼びます。
初期虫歯であれば、自ら修復することができる歯ではありますが、再石灰化の効力が間に合わないほど、歯垢が沢山歯面に付着している状況である場合など、お口の中の環境が清潔に保たれていない場合、歯が修復されることなくエナメル質に穴があき、下の層である象牙質までむしばまれ、虫歯になってしまいます。
虫歯の段階と症状
【初期虫歯:CO】
歯の表面組織であるエナメル質の表面が虫歯菌によって溶かされている状態です。歯の表面が白濁して見えます。
・症状
自覚症状はありません。
・治療方
虫歯治療はこの段階ではおこなわず、フッ素を塗布する、正しい歯の磨き方を指導するなどをして再石灰化をうながし様子をみます。セルフケアでは、フッ素入り歯磨き粉を使用した歯磨き、キリシトールが配合されたガムも効果が期待できるのではないでしょうか。
【虫歯第1段階:C1】
再石灰化されず、エナメル質に穴が空いた状態です。再石灰化は期待できず、虫歯治療が必要な状況となります。
・症状
まだ痛みを感じることはありませんが、冷たいもの、甘いもので歯が染みるようになります。
・治療方
局所麻酔をおこなうことも少なく、虫歯になった部分を削り、レジンで穴を塞ぎます。
【虫歯第2段階:C2】
エナメル質の下の層である象牙質にまでむしばまれている状態をさします。見た目も虫歯部分が黒くなります。
・症状
甘いもの、冷たいもので歯が痛くなることがあります。自身でも虫歯と気づく頃です。
・治療方
象牙質は痛みを感じる組織であるために、局所麻酔をおこなうことも多くあります。レジンだけでは削った部分を補えず、補綴物であるインレー・クラウンが適応されるようになります。
【虫歯第3段階:C3】
象牙質の下の層である歯髄(神経)までむしばまれている状況です。歯にも大きな穴があいています。
・症状
歯髄が炎症を起こしていることも多く、甘いものや、冷たいものを食べているとき以外にもふいに痛みを感じることがあります。口臭を強く感じるようになります。
・治療方
虫歯菌によってむしばまれた歯髄を除去するために、局所麻酔をおこない、歯を削るだけではなく歯の根っこの部分の治療である根管治療をおこなう必要がある場合は、数回にわけて根管治療をおこなう必要があります。根管治療をおこない、補綴物治療へと移行します。
【虫歯第4段階:C4】
ほとんど歯が残っていない状況です。
・症状
痛みを感じる組織である歯髄もむしばまれ機能していない状況であり、なにも痛みを感じることはありません。口臭も更に強くなります。
・治療方
歯の根っこ部分である根管内までむしばまれ末期の状態であり、このまま歯を維持することは難しく、抜歯となることも多くあります。抜歯後は失った歯を補うために、両隣の健康な歯を削りブリッジをかける、もしくは部分入歯となってしまう場合もあります。
口腔ケアの重要性
以上、虫歯の段階と症状、治療法などをご紹介してまいりました。虫歯の段階が進行すればするほど治療も大掛かりになり、歯を失いかねません。歯の一部がなんとなく白い、または黒い、甘いものや冷たいもので歯が染みるようになった場合は自己判断せずに、歯科医院を受診しましょう。