ナメてはいけない!お口の健康を守る唾液の働き
2018年4月5日
このように、日常生活において嫌われ者として扱われることが多い唾液ですが、実は人の健康に深くかかわっているのです。
うっかり人を不快にさせてしまう口臭にも、唾液が関係しているのです。
ではさっそく、かまくら歯科と一緒に見ていきましょう。
唾液の基礎知識
唾液は唾液腺という組織から出てきます。唾液腺は、耳の下と顎の下と舌の下の3カ所にあります。
唾液の99%は水分です。そのほかにナトリウムやカルシウム、消化酵素などが含まれています。
唾液には
●サラサラ唾液
●ネバネバ唾液
の2種類があります。
それぞれの特徴を紹介します。
サラサラ唾液
サラサラ唾液は粘り気が少ない唾液で、リラックスしているときに出てきます。食事をするときにもよく出てきます。
サラサラ唾液には、食事をした後の消化を助ける機能があります。
ネバネバ唾液
ネバネバ唾液はねっとりした唾液で、緊張したときに出てきます。
たくさんの人の前で話さなければならにときに口の中に違和感が生じるのは、ネバネバ唾液のせいです。
ネバネバ唾液を嫌う人もいますが、ネバネバ唾液にもきちんと機能があります。そのネバネバした特性を生かし、口の中の細菌を絡め取っているのです。
またネバネバしているので口の中に張り付きやすくなり、粘膜を守ってくれます。
唾液の8つの仕事
●消化を良くする
●味を感じさせる
●細菌の侵入を防ぐ
●がん予防にも?
●老化予防にも?
●飲み込みやすくする
●虫歯を予防する
●口臭を防ぐ
1つずつ見ていきましょう。
消化を良くする
唾液には食べ物を分解する酵素が含まれています。
食物を消化したり栄養を吸収したりするのは胃や腸の仕事ですが、口の中で唾液によって食物を分解することで、消化や吸収がしやすくなるのです。
つまり唾液は、胃や腸をアシストしているのです。
味を感じさせる
味は舌で感じるのですが、舌の表面を乾かした状態で味のある食物をのせても、味を感じることはできません。
舌は、唾液に溶けた食物の味を感じているのです。
唾液がなかったら味気ない食事をすることになるのです。
細菌の侵入を防ぐ
唾液の中に、細菌を殺す成分が含まれています。
まだネバネバ唾液は細菌を絡め取る効果があります。
がん予防にも?
唾液は、がん予防にも関係しているという研究結果もあります。
唾液に含まれている「ペルオキシターゼ」という酵素に、活性酸素を分解する効果があることが分かったのです。
活性酸素は、がんの発生に関与していると言われています。
がんのほかにも、活性酸素は心筋梗塞や脳梗塞、アルツハイマー型認知症にも関与しているとする研究者もいます。
活性酸素を叩く唾液は、とてもありがたい存在といえます。
老化予防にも?
活性酸素は細胞を衰えさせるので、活性酸素を分解できれば老化スピードを落とすことができます。
ということは、活性酸素を分解する健康な唾液を持つことは、老化予防にもつながるということです。
飲み込みやすくする
乾いた物体は滑りにくいのですが、その物体に水をかけて湿らせると滑りやすくなります。
食べ物と口の中の関係も同じことがいえて、乾いた食べ物であっても唾液をかけて湿らせると、口から喉、喉から胃へとスムーズに滑っていきます。
高齢者が食べ物の飲み込みに苦労するのは、飲み込む力が衰えるだけではなく、唾液の量が減り、食べ物の口の中での滑りが悪くなっているからなのです。
虫歯を予防する
歯科クリニックの歯医者たちは、唾液の成分に注目しています。
虫歯の原因の1つに、歯の表面のエナメル質が溶ける現象があります。
口の中が酸性に傾くと、エナメル質が溶けていきます。
唾液は、口の中を酸性にしている酸を洗い流すことで、エナメル質が溶けないようにしているのです。
口臭予防
口の中の細菌が異常繁殖すると、口臭を発生することがあります。
口臭を出す細菌は、酸素が少ないほうが活発になります。
サラサラ唾液には酸素がたっぷり含まれているので、健康な唾液が出ていると、細菌はおとなしくなるのです。
唾液が少なくなると細菌が活性化するので、口臭を発するようになってしまうのです。
ドライマウスは怖い
ドライマウスは、歯周病、口内炎、味覚障害を引き起こします。
また糖尿病や自己免疫疾患、薬の影響などによってドライマウスが起きることがあります。
つまりドライマウスの背後に重大な健康上の問題が隠されているのかもしれないのです。
唾液は健康維持に貢献し、健康の異常を知らせる働きもあるのです。