妊婦さんに歯科検診をすすめる理由とは?
2018年12月12日
妊婦さんに歯科検診をすすめる理由
特に女性ホルモンの分泌に大きな変化がある妊娠期には、歯科検診を受けることが推奨されています。なぜならば、妊娠期は悪阻(つわり)などの影響から食生活にも変化をもたらせるだけでなく、女性ホルモンである、エストロゲンやプロゲステロンなどが月経時に比べてそれぞれ100倍、10倍以上分泌されると言われています。
それら女性ホルモンは唾液や歯周ポケットと呼ばれる、歯と歯肉の間の溝から分泌される成分中にも含まれ、お口の中にさまざまなトラブルや疾患を引き起こす可能性が高くなることから、妊娠期の歯科検診がすすめられています。
妊娠時に現れやすい症状
【歯肉が腫れたり、出血したりする】
女性ホルモンが多く分泌される妊娠期には、およそ9割の妊婦さんに、歯肉が腫れてしまったり、出血してしまったりする症状が現れていると言われています。このような妊娠期の歯周病は「妊娠関連性歯肉炎」と呼ばれています。
【冷たい、熱い飲食物でしみる】
歯周病のサインの1つです。虫歯でも冷たい、または熱い飲食物でもしみるような感覚が現れます。
【歯や歯肉が痛む】
虫歯がないのに、歯や歯肉が痛む場合があります。これもまた歯周病のサインの1つであり、普段歯肉に覆われていた刺激に弱い象牙質が、歯周病などにより歯肉が衰退し下がることで外部に露出し、すこしの刺激だけで痛みを感じてしまう場合があります。
【唾液がネバネバする】
妊娠期には唾液の分泌量は激減し、お口の中は酸性になりがちになり、唾液がネバネバするように感じます。唾液は飲食をするさいに消化を促すとともに、お口の中を洗い流す役目もありましたが、唾液の分泌量が減少したために、お口の中を清潔に保つことができなくなる可能性があります。
【悪阻(つわり)などの影響から、歯磨きができなくなる】
個人差はありますが、平均して妊娠初期から妊娠4ヶ月から妊娠5ヶ月頃まで悪阻(つわり)の症状が現れ、お口の中に歯ブラシを入れることに抵抗を感じる場合があり、歯磨きが適切におこなうことが困難になります。
【食事回数が増え歯垢(プラーク)が溜まりやすくなる】
悪阻(つわり)の症状が治まると、食欲が増す妊婦さんも多く、1回の食事量は減っても回数が増えた、間食をするようになるなど、食べ物を食べる機会も増え、歯垢(プラーク)が溜まりやすくなります。
妊娠中、歯科検診・治療を受ける時期や気を付けること
【妊娠中の歯科治療の時期】
妊娠初期から悪阻(つわり)の症状が落ち着くとされる妊娠4ヶ月から妊娠5ヶ月頃までは、不安定であり早急な治療が必要な場合を除き、歯科治療は避けるべきでしょう。
悪阻(つわり)の症状が落ち着く妊娠中期とされる、妊娠5ヶ月から妊娠7ヶ月の間に歯科検診や治療を受けることをおすすめします。妊娠後期になると、お腹がせりだし、診療ユニット(椅子)に座る、または仰向けになって治療することも困難になる場合も多く、早急に治療が必要な場合を除き、避けるべきでしょう。
また、体調も個人差があり、自身の身体とお腹の中の状況など考慮しながら、歯科医師と治療時期などを相談しましょう。
気をつけたい、避けたい検査・治療
【麻酔】
一般的に歯科医院で使われている歯科用麻酔薬は妊娠期にも投与が可能なものが多く、お口の中で使用する麻酔は局所で分解され。お腹の中の赤ちゃんには影響することはありません。麻酔で過去に気分が悪くなってしまう、効きにくい場合などは、歯科医師に相談しましょう。
【レントゲン】
レントゲン撮影に不安を覚える妊婦さんも多くいらっしゃいますが、口の中の
レントゲン撮影で浴びる放射線量はごく少量であり、口とお腹(子宮)との距離もあり、鉛の防護服(エプロン)でお腹を保護することで更に安心を得られます。
【薬の服用】
妊娠していることを歯科医師に伝え、妊娠期にでも服用できる薬を服用してもらいましょう。
【転倒】
お腹が大きくなるにつれて、転倒するリスクは高まります。歯科治療をするさいの、診療ユニットから転倒しないように、気をつけましょう。
以上、妊娠さんに歯科検診をすすめる理由、妊娠期に出やすい症状、検診や治療をうける時期などについて、ご紹介してきました。妊娠期はとてもデリケートであり自身の体調、お腹の中の赤ちゃんの状況なども産婦人科医、歯科医師と相談して無理なく歯科検診、治療をおこないましょう。